不毛な争い

 年金制度改革法案が衆議院の委員会で可決されました。与党は「年金確保法案」と、野党は「年金カット法案」と主張しています。 前者は現役世代を主として見た場合の、後者は高齢者を主として見た場合の言い分であり、どちらも間違ってはいません。ただ何時ものことですが、野党の反対ありきの姿には辟易してしまいます。国民へのパフォーマンスとして必要なのかもしれませんが、双方とも具体的な財源確保と、その財源をどう優先順位を付けて社会保障制度全体を意義あるものにしていくのかという根幹問題を話し合ってほしいものです。財源は無尽蔵ではありません。また社会保障制度は高齢者だけではなく、母子家庭や生活困窮者、待機児童や奨学資金受給者問題など多方面にわたっています。また生活保護費の不正受給、高齢者と現役世代の経済格差、不透明な高額医療制度など、解決せねばならない重要課題も山積しています。不毛な争いを繰り返すことなく、わが国の将来をもっと真剣に考えた議論を期待します。