昭和は遠くなりにけり 銭湯

 私が生まれた昭和34年は高度経済成長の前半期です。うろ覚えの記憶ですが、バラック(死語ですね)の家や未舗装の道路が多く、「巨人の星」(これも古すぎる…)で登場した長屋もかなりありました。風呂がある家は少なく、私も小学校4年生までは家に風呂がなかったので銭湯に行っていました。当時の銭湯は今のようなスーパー銭湯とは程遠いもので、夜に行くとお湯に垢が結構浮いていたものです。出入口から入ったところに番台があって、そこにはオジサンかおばあさんが座っていて、お客から入場料を受け取るシステムでした。たしか大人15円で子どもが7円くらいだったと記憶しています。脱衣所には東映や日活の映画ポスターが貼ってあり、高倉健さんの任侠姿は幼い私の目にも焼き付いています。また風呂上りに珈琲牛乳やフルーツ牛乳を飲むのが何よりの楽しみでした。貧しかったのでめったに買ってもらえませんでしたが…。今はほとんど見ることのない銭湯とその上にそびえた煙突の風景は『昭和』そのものでした。 To be continued.