クリスマスケーキの思い出

 私の子供の頃は今のように裕福な時代ではありませんでしたから、ケーキを食べる機会はとても限られていました。その限られた一つがクリスマスです。家族でそう大きくないケーキを分けて食べるので自分の口に入る分は決して多くありません。そこで子供心にいつか大人になったら一人でクリスマスケーキを全部食べてやるという強い願望があったのです。そしてそれが叶ったのは23歳の時です。3000円ほどの大きなケーキを購入しました。目の前の大きなケーキに、これを独占できる嬉しさに感動したものです。最初は大変おいしく、その時の幸福感は最高でした。ところが甘くて大きなケーキを一人で食べきれるはずもなく、半分も食べないうちに生クリームの甘さに辟易してギブアップ。翌日もトライしましたが四分の一を食べるのが精いっぱいで、結局固くなり捨てる羽目に。それからしばらくケーキを見るのも嫌になりました。今もケーキはほとんど口にしておらず、ここ20年で食べたのは数回ですね。何事も『過ぎたるは及ばざるがごとし』です。