最大多数の最大幸福 Ⅱ

 ベンサムが唱えた功利主義は、人民の中で多数者が少数者を抑圧するといった「多数者の専制」という問題が出てきました。これに対して、ベンサムの弟子ジョン・スチュアート・ミルは、功利主義に一定の制限を設け、個人の自由を可能な限り保証する。他人に危害を加える恐れがない限り認める(危害原則といいます)というものでした。また経済学では20世紀に誕生した福祉国家の思想的基盤となり、日本国憲法の「公共の福祉」はこの一環を表していると解釈する学者もいます。少々難しい話になりましたが、「最大多数の最大幸福」という思想が現代社会に大きな影響を与えたことには事実です。特に昨今の少数派「マイナリテイ」保護の流れは、功利主義の考え方とは逆の一面を持っています。では…。To be continued.